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辛いオルチョの理由

今年春のオルチョあらしぼり入荷時のことです。

もう何年もオルチョを取り扱ってくださっている販売店さんから

「今年のあらしぼり辛すぎる」

と指摘されました。

いつもオルチョを購入されるその販売店さんのお客様が
「あまりにも辛くて喉が痛い」

というものでした。


オリーブオイル・オルチョサンニータは
秋にとれたオリーブ果実をしぼり、タンクに詰めてゆっくり含まれる微細な果肉を沈殿させ
上澄みのクリアなものを瓶詰めするのですが、


「あらしぼり」は、その果肉沈殿がまだ終わらないものを
あえて果肉入りでジョバンナさんに瓶詰めして貰い、

早々に日本に輸入したものです。

沈殿物は果肉なので、オリーブの一部分です。

ただ、

●タンク詰めの沈殿行程



●イタリアからの輸送手段による温度の変化



●日本での品質管理



適切に行えない場合は、この果肉は暑さや熱によりオイルを変質させる原因となり
オリーブ業界ではこの果肉を入れずに完璧に取り除き販売する方が無難だといわれています。
そして
フィルターにかけてしまうことがほとんどです。

しかしこのフィルターは
果肉の分離はできるが、おいしい成分や微量成分といわれるものも取り除かれる為、
こだわった生産者はまずやりません。


時間をかけて沈殿させ果肉を取り除きます。


オルチョは品質があやしくなることはないので、
あらしぼりを販売することができます。

ただし、一番便だけにしています。(オルチョは年に数回に分けて輸入しています)

秋に絞って春の入荷ですから
オリーブオイルのフレッシュ感が強く、香りや辛味のスパイシーさが際立っており
年々、好評を得て人気商品となっています。


オリーブオイルは基本的に熱をかけず、EU内ルールでは28℃以下で処理するようになっており、

『フルーツの油性生ジュース』

ともいえるゆえんです。

フルーツの出来により、しぼられるジュースの味は変化し、

天候や土の状況により、フルーツは影響され、そのものの味も変化し
毎年オルチョが微妙に味や風味が違うのはその為です。


新しいほど「辛味」「苦味」あるいは「しぶみ」が強く、
出来たばっかりの絞りたては

そのまま飲むとものすごく強烈です。
もしくは絞りたてはそう感じないものも、2~3時間すると もしくは24時間経つと

辛くて苦くて飲めないこともあります。


そんな生フルーツジュースのオリーブオイル、オルチョサンニータ。


今年のあらしぼりも同じく、辛味がいつもの年より強めで、
わ~~と私自身思ったものですが、


オリーブオイルというものの範囲の中での辛味苦味渋みである、と認識しました。


しかし今現在食べているオルチョですが

例年ですと
夏の終わりには辛味成分もかなり落ち着き
元もとの持つ、辛味成分に隠れていた「甘み」が突出し
いつものオルチョになっていくところですが、今年はいまだに辛味が残っています。

わたしは毎週のようにオリーブオイル使い方講習で全国行脚しており
新品のオルチョを使って料理しています。

開けたら必ずビンの口を鼻のところにもっていき(ワインのソムリエがやるように)
香りの変化がないか確認します。

今だもって新品のオルチョを開封し酸化臭を感じた事は12年やってきて経験はありません。

今年の辛味がこのように長く続く理由は、

昨年の猛暑によるものと考えられます。

昨年、初めて一般生産者のオリーブ農園のオリーブ果実が雨が降らない為の乾燥で
果実の肌がしわしわになり、
それは水分のなくなったおばあちゃんの肌のようでした。

はじめてみるその果実の干上がりにびっくりしたものです。

かろうじて、私の関連生産者のオリーブがそのような状態にいたる事はありませんでしたが
イタリア全土(去年は西ヨーロッパ全域)が猛暑の乾燥で
生産者は大変でした。(収量も少なく経済的にも)


そして今年も二年続きの猛暑と乾燥で
さすがにアックアサンタのオリーブもしわしわに乾燥しており
事の重大さに慌てましたが

このような今年の暑さでは来年のオルチョもそのようになると予想されます。
昨年産がこんな辛いんですから。


その辛味についてちょっとわたしの見解を書きたいと思います。


最初にも説明しましたが、
オリーブはその気候条件にあわせ、乾燥の時は地下の深いところまで根を伸ばし
生きようとします。

実の数をあえて木は調整し数は減りますが生きるに耐えられる量で持ちこたえがんばります。

暑さに負けないよう、
自分の力をふりしぼり、少ない水分を吸ったり必要なものを取り込もうとするため
かなりのストレスもかかるでしょう。

このような理由と乾燥により水分が少ないため
果実の水分以外の成分が濃縮されます。
当然、味や風味にも影響がでて、いつもより濃縮された味と香りになります。


オリーブは8000年も前から栽培されているといわれており
はじめの数千年はいまでいう「薬」のように肌への塗布や飲用、内服されています。

太古の人々の身体の調子を整える為に役立ってきたといえます。

そう、オリーブオイルは生薬なのです。


「良薬口に苦し」といいます。

この苦い成分はいわゆる「抗酸化物質」といわれているもので
植物には必ず量の差はあれ含まれるものです。

抗酸化物質はその植物自体が身を守る為に分泌する自分の為のものです。

しかし現代、この抗酸化物質が人体に良い影響があるということが
いわれるようになりました。

数値には出していませんが、
この辛味成分こそそれであり、
今年は世界的にも気温が高くかなり人間にとってもつらいところですが

こういうときだからこそ
昨年できたこの辛味のあるオリーブオイルが有効である、と思います。


この容赦ない暑さに負けないよう、そしてこの暑さの中できた野菜と組み合わせることで
スタミナ切れにならない濃厚なオルチョはお役に立つはずです。

自然はそう采配している、とわたしは思います。


農産物は均一はありえません。
昨年に続きこの猛暑でオリーブの収量も全体的に少ないはずですが
イタリアで、ヨーロッパでオリーブが不作というニュースは流れません。

なぜ?

これは外国から持ってきて(輸入)いつもと同じ量を確保し、それを流通させているからです。
国産が少なくてもオリーブ業界の流通させる人には全く関係ないのです。

困るのは栽培している生産者だけです。(あ、わたしもだ)


繰り返しますが

量も味も香りも、農産物なのですから均一はありえませんし、
その年の天候に大きく左右されるのは当たり前です。

苦い、辛い、喉が痛い、胃が痛い、

それは

その方の体調が悪いからと思われます。

喉に炎症があれば、辛味は刺激になるでしょう、
胃が痛い、胃に炎症、疲労していれば同じく刺激になるでしょう。


しかし、そういう方こそ、オルチョを積極的に(苦味辛味が気にならないような料理を工夫する)
摂られることをおすすめします。


自然の摂理はわたしたち人間に必ず連動しています。
それだけ植物にとっても人間にとっても過酷な状態になっているともいえるのですが

そうなってしまった原因はなんなのでしょうか。
色々な変化についていけないわたしたち人間でもありますが、

しかし自然の声に耳をよ~く傾け、自分の体調や直観力を発揮させる為にも

普段の生活、自然との調和がとれるような生き方をしなければならないと



わたしは今回の辛味酸化の電話で改めて思いました。



すっぱい、酸化している、のオルチョは
会津に返品して貰い、わたしが味と風味を確認し、全く問題のない、いつものオルチョでした。
油の劣化はみなさん「酸化」という言葉しか思い浮かばないのか

「酸化」がよく多用されますが

その肝心の「酸化」がどういうものなのかを
よく理解されてないということも今回わかりました。



ということで話は長くなりましたが

この辛味成分こそいまこの状態の日本国内の暑さにまけない食事をつくるに最適なものです。

どんどんオルチョで季節の変わり目の体調崩れ予防にご活用いただきたいと


思います。


【画像】今年8月のアサクラオイルの果実
下草が枯れていますが、果実は健康そのもの。量は少なかったですが丸々と太っています。
アサクラ 果実拡大


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All Comments

いまこそ真価が現れる

オリーブオイルは調味料である前に、人類に与えられた貴重な薬です。
我が家も虫さされを始め、痛み止めや怪我など様々な事にオルチョを使っています。
今年のオルチョは確かにすごい。オルチョを使うと痛みや傷の回復が各段に速いのです。婆ちゃんもたまげています(笑)。

URL | 2012/09/17(月) 08:55:44 | トモアキ #- | [ 編集]

すばらしいお話です

まるでアーユルヴェーダと同じだわ!と思いながらブログを拝見いたしました。
辛味 苦味 渋味はカパ(水の質)を整えます。デトックス効果もあるのです。
これから秋に出回る甘味のある果物や野菜、穀物のバランスをとる調味料としてオルチョはスパイスのように大いに利用できると思います♪
宇宙や自然の流れに寄り添って健康になろうよ、というのがアーユルヴェーダなんです♪もうどっぷりと実践してらっしゃる!(笑)

URL | 2012/09/17(月) 17:41:08 | 坂口 靖子 #- | [ 編集]

トモアキさん

ばあちゃんもたまげてる!(笑)
見えるようです~
古代から廃れることなく使い続けられたオリーブオイルはほんとすごいですね!

URL | 2012/09/19(水) 16:27:40 | アサクラ #- | [ 編集]

坂口さん

コメントありがとうございます!
アーユルヴェーダ、よくわかりませんが、なんとなくわかりました~そうなんですね。

いつもの味じゃない~ってのに
均一に慣れている人、それが当たり前の世の中ですから、びっくりされたんだと思います。

自然のものに二つとして同じモノがないんだ、ってこと今回のオルチョをきっかけに、
こんだけ違っちゃったりする!ということを私も含めて認識し、みなさんにも知っていただくいいきっかけだったかもしれません。


オルチョが酸化する原因は、船で何かあった場合

①船の定温コンテナーの電源が落ちて常温になる
→これだとそのロットは全部油がやられるので絶対アサクラスタッフが気がつきます

②兵庫県の倉庫で何か問題がある、これも保管庫での温度調節が不能の場合
→これだと一部分やられる可能性

①はありえますが②はほとんどありえないと思います。
しかし①はありえることですので
そうなったらその温度変化と時間で味が変化する可能性があります。


しかしもし酸化臭など感じられましたら
必ずお知らせ下さい。

このような事を講習会やこのブログなどでもお知らせしていかなければと思います。

URL | 2012/09/19(水) 16:41:39 | アサクラ #- | [ 編集]

要は好み!

大変ご無沙汰しています。
我が家の食卓は朝倉さんなくしてはなりたちません(笑)

今回の辛味について。
思い当たるフシがあったので。。。

ウチのドイツ人のお客様(オルチョは高いデスネ。と言いながら毎年買ってくださる)は、
「今年のオイルが一番美味しい!」と一言。

ワタシは去年のほうがマイルドで好きだったな~。やっぱ外国人は辛いのが好きなのかな?
私的には今年のアックアサンタが秀逸かもと、心の声。

また別のお客さんは、試飲後、
「マイルドすぎて好みじゃない。」と購入せず。

要は好み?なんて思った春先でしたよ。
酸化なんてとんでもない!

毎年違う味があるからオリーブに親しくなれるのです。

ことしはマイルドだよ。
ことしは辛いよ。
それはね。。。って教えてくださいませ。
ぜひぜひ。






URL | 2012/10/01(月) 20:11:25 | peace #nIE9W.V. | [ 編集]

Peaceさん

愛のこもったコメントありがとうございます!
まったくその通りで、好みがうまいまずい、の範疇でいろいろな感じ方があっていいじゃない~

です。
酸化はまた別の話でその酸化がどういうものかを知らない人もいるのかもしれません。
無味無臭・味の変化もない精製オイル(サラダ油)を常用していればなおさらです。

甘いのが普通だけど今年は辛い、
驚くほど辛い!

オルチョはこのように味の変化が著しい。
味に幅がある。
オリーブオイルはこういうものです、と

オリーブ文化のない日本人、そして農産物とはどういうものか、知る機会を与えてくれるのに
一役買ってるオルチョ~~~

ということで

ご理解いただけますと嬉しいです。

Peaceさんこれからもよろしくお願いします!
来年のオルチョはどうでしょう!!!


URL | 2012/10/04(木) 10:27:44 | アサクラ #- | [ 編集]

なるほど

その環境に従って自らをサバイブの為に変容させる、、、素晴らしい自然の摂理。感動ですね。人間だって、そうやって変化してきたのですものね。
日本の味噌や醤油とかでも、大豆や糀や塩の影響をうけ、自家製などは毎回味が違いますよね。
あ~~~ますます、オルチョから目が離せません!!!(笑)
神戸在住英子のいとこ@ニュージーランドです。

URL | 2012/12/08(土) 05:41:05 | Sachikonz #bca.fvZU | [ 編集]

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